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吐き捨て系日記

とある20代男が考えを整理するためにブツクサ綴る、ほんとにただの日記です。

野球を数字で見る見方

スポーツの中でも俺は野球というやつが好きだ。

親父の影響もあるが、ちゃんと見るようになってから、もう20年になるだろうか。野球を見始めたころ、期待のルーキーだった高橋由伸が今やジャイアンツの監督だもの。

最近はネット中継が発達したり、ネット文化によって野球ファンも増えたらしい。大谷翔平山田哲人など若きスーパースターの存在もそれに拍車をかけているだろう。

 

そこで、野球を見るときにさらに面白くなる見方を一つ提案したい。どちらかというと野球に興味がない、もしくは最近見だしたという人向けの記事だ。

野球マニアだって方は、間違いとか発見したら教えてください。

 

野球の特殊性

野球というスポーツは、投げる、打つ、走る、守る。この要素で成り立っている。日本人は慣れ親しんだ人が多いため、あまり気にかけていないが、実はすべてのスポーツの中でも特殊な形態をしている。

 

例えば、試合の終わり方だ。

テニスやバレーボールなどを見てみよう。テニスは4ポイントで1セット、6セットで1ゲームという形でゲーム数を競い、勝敗を決する。バレーもサーブを交代しながら21点で1セット、3セット先取した方が勝ちになる。

 

また一方でサッカーやバスケットボール。これらは時間制だ。サッカーは90分の45分ハーフ+アディショナルタイム。バスケは10分ピリオド×4で、その時間内に多く得点を上げた方が勝ちになる。

 

これに対して野球は「9回終了時にリードを持っていた方が勝ち」というルールだ。そしてその回、イニングを終了するには3つのアウトが必要になる。また、日本のプロ野球では12回までに決着がつかなければ引き分けとなる。(3時間ルールなどもあるが、それは一旦置いておく)

 

つまり、時間でも得点でも無い、独自の終わり方をしている。これは野球のルーツであるクリケットも同じだ。テニスは一方的に得点を取られても、規定の得点を得れば試合は終わる。サッカーも、時間が来れば試合は終わる。

しかし野球はアウトが取れなければ試合が終わることは無いのだ。先日、オリックスソフトバンクで22-6というスコアがついた試合があった。高校野球なんかではもっとすごい点差がついた試合がある。

 

またもう一つの特徴。基本的にプレーが投球一回ごとに区切られているということ。これも普段は気にされていないことだ。アウトを取った、ヒットを打ってランナーが確定した、その段階で審判はタイムをかけ、プレーを切っている。そして、プレーを再開して初めて、投球したり進塁したりできるのだ。

ここまでプレーが途切れるスポーツも珍しい。アメフトが比較的近いかもしれない。

 

上記したような特徴に加え、基本的に選手が全員攻撃も守備も行うという性質上、あらゆるプレーが数値として記録されやすい。

 

そこで今回、野球を数字の観点から見るという見方を紹介したい。

 

数字で見るとは

例を挙げよう。2013年、東北楽天ゴールデンイーグルスの初優勝に大きく貢献したアンドリュー・ジョーンズの成績を見てみる。

 

試合:143

打席:604

打率:.243

本塁打:26

打点:94

三振:164

 

いかがだろうか?打率2割4分、つまり4回打席に立てば1回ヒットを打つか打たないかぐらいだろう。これは決して高いとは言えない。また三振が160もある。600近い打席のうち、4分の1が三振であるとすれば、その多さがわかるだろう。

しかし、94打点は立派だ。さすがメジャーといったところか。

この成績を見てどう感じるだろうか?4番としては物足りない、三振が多すぎる。そういった評価が多いかもしれない。

 

しかし、上記の成績は意図的にいくつかの数値を省いてある。それは

 

長打率:.454

出塁率:.391

四球:104

 

という数値だ。長打率とは打率の計算方法、安打数を打席数で割る際に、二塁打をヒット二本分、本塁打をヒット4本分として計算する方法だ。こうすると、長打、つまり一回のヒットで多く先へ進むヒットを打つ選手の率が高くなる。それだけ、得点に絡む可能性が高いバッターであることの証明ともいえる。打率では、規定に達した選手の中でもワースト3に入るジョーンズだが、長打率はベスト10に入る。

 

また出塁率は、単純にヒットに加えて四球もヒットと同じように計算する。4番で長打があるバッターは敬遠で塁に出ることが多い。また、選球眼が良く無駄な球を打たないバッターも同じように四球が多くなる。この年、ジョーンズが選んだ四球の数はリーグトップだ。

 

これを総合するとどうだろうか?四球が多く、打つときは長打が多く得点に絡む。ジョーンズの評価が少し変わったように思えないだろうか。

 

海外で主流になっているセイバーメトリクスという手法がある。様々な計算を用いて選手を分析し、評価するものだ。その中でも簡単なものにOPS(On-base Plus Slugging)というものがある。これは、出塁率長打率を単純に加算するだけでいい。その数値が高い選手は、塁に出る能力が高く、得点に絡む優秀なバッターであるとされる。

大まかに、OPSが.800を超えると優秀なバッターの部類に入り、1.000を超えるバッターはリーグを代表するような選手であるという感覚だろうか。

例に挙げたジョーンズのOPSは.845である。これはリーグの中でもベスト10に入る。ベスト10の中で打率が.250を切っているのはジョーンズだけである。

 

数字で見る意味

セイバーメトリクスが生み出されたのは、評価されない選手を評価するため、であると言われる。前述したジョーンズも、単純な打率や本塁打だけの評価ではあまり高い評価は得られなかっただろう。

こうして選手が積み重ねた数字はうそをつかない。そこに目を向け観察することで、選手のプレーが見えてくる。それが数字で野球を見る楽しみの一つだ。

 

しかし、それも万能ではない。例えば上記のOPSだが、単純であるが故、評価が難しい側面もある。

例えばイチローイチローはヒットメーカーとして知られるが、彼のヒットには内野安打やシングルヒットが多い。長打率の計算では、ヒット4本とホームラン1本は同じ価値になる。イチローが4打数4安打するのと、4打数で1本塁打は等価値、納得出来るだろうか?

OPSは中軸、クリーンナップの選手には相応しいかもしれないが、一番や二番の、帰ってくるバッターに対応させて評価するのは少々乱暴に思える。

どちらかといえばOPSは「帰ってくる」バッターより「帰すバッター」に用いるのが適当だろう。

どう扱うかによって見方が変わってしまうことも留意しておきたい。

 

そして何より忘れてはいけないことがある。数字は数字でしかない。時に数字を超えるような出来事が起こるからスポーツは魅力的なのだ。

シーズンで一度もヒットを打っていないバッターが、相手のエースから決勝打を打つ。全く打てなかったコースが突然打てる。

そういったドラマが野球の歴史にはたくさんある。プレーするのは人間なのだ。機械ではない。

 

積み重ねた数字による説得力か、無限の可能性か、そのジレンマもまた野球の醍醐味の一つなのだ。