漫画ってのも、段々好みが分かれていって共有しづらくなってくもんだよなぁ…なんてね。
シグルイ
血みどろ残酷時代劇漫画。
しかし、ただの悪趣味漫画ではない。その残酷さが必要だった時代の話。侍の持つ美徳の裏側にある変態性やら痛みを強烈に叩きつけてくる。
少年漫画的な、奥義やその仕組みも面白い。
何より、残酷で凄惨な世界観だからこそふとした人間的感情や愛情が美しく輝いて見えるような漫画。ラストは泣いた。
ARMS
少年サンデーの歴史の中でもかなりヒットした方らしい。
SFアクションに「不思議の国のアリス」をブレンドした絶妙なキャラ配置は魅力的。何よりアクションシーンがカッコイイ。サイボーグやARMSのデザインも含め、バトルシーンは凄い。
「中二病」なんて言われることもあるが、正統派に「かっこよさ」を追求したこの漫画をその一言で片づけるのはもったいないなあとも思う。
男どアホウ甲子園
「ドカベン」でおなじみ水島新司の、もちろん野球漫画。ドカベンに輪をかけて荒唐無稽なキャラが多い。隻眼隻腕なヤクザの息子とか、松葉杖ついた外野手とか、なぜか土佐弁で喋る特攻野郎とか。滅茶苦茶速い球を投げる主人公が実は一番普通なんじゃねーかと思えるほど。
野球の範疇ギリギリで、その豪快なキャラ達が所狭しと暴れる姿は痛快。悲恋とか挫折といったドラマ性もあって、読み応えがある。
BIOMEGA(バイオメガ)
BIOMEGA 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/06/19
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
「BLAME!」や「シドニアの騎士」で知られる弐瓶勉の作品。ハードさとヒロイックさのバランス的に俺はこの作品が一番好き。
マスクを取ったらやたらイケメンな巡回査察員ヒグイデや、熊、といったキャラクターもいいし、メカももちろん最高。
まんが道
言わずと知れた名作。藤子不二雄の半自伝的作品。
シンプルな「漫画」だからこそそこから伝わる熱や感情も非常にストレート。「俺…会社一日で辞めたんだ」のシーンの切迫感はヤバいね。
普遍的な「夢」を追う人間の姿は、いつの時代でも受けると思う。
幕張
下品だ、下品すぎる。有名人や他の漫画家を、悪意全開でいじり倒し、下ネタのレベルもかなり高い。時事ネタが多いため、今読んで笑えるかと言われると難しいが、この漫画がジャンプに載ってたってのは歴史的価値がある。
喧嘩稼業も好調なようだが、やっぱこれよ。
軍鶏
掲載紙が変わったり、原作者と揉めたりいろいろあった漫画。
空手を通して「暴力」でしか生きられない男の姿を描く。出てくる人間で幸せになったやつが誰もいないってのが凄いな。「闇金ウシジマくん」的に底辺を映し出すというより、そこにある種の美学というか、そういったものを感じてるのかもしれない。
全体通してものすごく悲しい話なんだが、嫌いにはなれないな。
ジョジョとかドラゴンボールとか、そういったものは改めて好きというまでもなく面白いので割愛。
ーーーーーーーーーーーーーーー番外編「好きだったけど嫌いになった漫画」ーーー
BECK
高校時代はめちゃくちゃ好きで、この漫画きっかけで知ったバンドとかもかなりいた。
ただ、読んでいくうちに作者の「ロック」と俺の「ロック」が段々離れていくのを感じた。
話の都合上なんだけれども、例えばヴィジュアル系バンドや、R&Bの大物とかミクスチャーロックの大物(明らかにリンプビズキット)を悪役に据えてみたり、メタルはお笑い担当で済ませたり。
主人公のバンドに関しては具体的な音楽性が描かれているのだけれど、後半になって出てくる仲間のバンド、ROOM13とか死亡遊戯とかが実にふわっとした描かれ方をしている。だから、ウケるバンド、と悪役のバンドとの差が「音楽を楽しんでいる」とか「純粋にやっている」という差でしかない。
本気でやればウケるんだ!という理屈はわかるが、それで悪しきものにされたやつらが一辺倒に「商業主義」に押し込まれていることに違和感を覚えた。
結局主人公のバンドも、偶然大物ロックバンドのメンバーと伝手があり、偶然有名プロデューサーと知り合いで、偶然有名映画監督がPVを作ってくれて、偶然超名曲を教えてもらえる、という感じ。
それを引き寄せたのは彼らの努力、というのも分かる。実際に形にしたのはバンド自身だから。
ただなぁ…だとしたらロックバンドの中に「悪役」を作っちゃいけねえよと。見る側を変えたらBECKの方がよっぽど悪役なんだよなぁ。
それが、「ロックスターの夢」によって正当性を得ているってのがなんかモヤっとするようになった。
まあいろいろ考えてあんまり好きじゃなくなったけど、演奏シーンとか含めて間違いなく良い漫画なんだよな。だから余計に物思うわけだが。