俺はホラーってのがめっぽう苦手なわけですが、そんな俺がとあるホラーシリーズにハマっております。
それが「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズ。
まあよくレンタルビデオショップのホラーコーナーに並んでる、いわゆるVシネマってやつだろうか。
ところがこいつがヒットを飛ばして、劇場版まで作られてしまった。例に漏れず俺もハマり、新シリーズもしっかり追っかけている。
いったいどんな作品なのか、簡単に紹介する。
コワすぎ!とは
全国各地から送られてくる怪奇映像。そこには都市伝説などで知られる口裂け女やカッパ、トイレの花子さんらしきものが映っている。
それを検証するためにディレクターの工藤とアシスタントの市川、カメラマンの田代(監督自ら演じる)が現地へ赴く…というのが主な構成。
いわゆるモキュメンタリー、ドキュメンタリー風のフィクションだ。
撮影された場所へ行き、撮影者にインタビュー、その後聞き込み調査を行い怪奇現象に接触する。「稲川淳二の恐怖の現場」とかに近い作りかもしれない。
今までのシリーズは
FILE-1 口裂け女
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FILE-2 震える幽霊
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FILE-3 人食いカッパ
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FILE-4 トイレの花子さん
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劇場版序章 お岩伝説
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劇場版
最終章
で一旦完結し、現在新シリーズが作られている。
さて、このコワすぎシリーズ、いったい何が人を惹きつけるのか。俺が感じた魅力を幾つかまとめる。
アグレッシブな登場人物
他のホラー作品と比べて変わっているのは、主人公たる工藤Dとアシスタント市川、そしてカメラマン田代を含めた一行のアグレッシブさだろう。ホラービデオ作成のためとはいえ、彼らはガンガン怪奇現象に突っ込んでいく。
目の前に怪物が現れても、カメラは回すし、何だったらバットで殴りかかろうとする。ホラーのお約束を真っ向から無視して突っ込んでいく。それがとても痛快だ。
怪奇現象だけではない。思わせぶりな言葉を吐く関係者や目撃者にも同じように罵声を浴びせ、時には実力行使に出る。正直、反社会的な行為なんだが、映画におけるモヤモヤ、聞きたいことを聞けないイライラを解消してくれているような部分もある。
また、工藤はただ乱暴なだけのキャラではなく、ちゃんとした人間味があるキャラとして描かれている。
とある話で少女が自身のいじめ行為を告白した時、工藤のキャラからしたら「何やってんだゴラァ!」とキレたり罵倒したりすることが予想された。しかしそこで工藤は何かを察したのか、あるいは自身の過去に想いを馳せたのか、「そうか…」と一言呟くだけでそれ以上言及はしなかった。
別の場面では、慕っていた人物の死にショックを受け、あれだけ映像を撮ることに執着していたにも関わらずカメラを止めるよう指示を出す。
本当に危ないとこからは一目散に逃げ出したり、とりあえず市川になんでも先に行かせたり。頼れる男ではないが、その奥には優しさがあり、影がある。主人公は彼しかいないなと思える。
それに嫌々ながら付いていく市川もいいキャラしてるんだよなー。
されるがままではなく、怪奇現象に真っ向から立ち向かうこの2人の姿勢、ひいては監督の姿勢の潔さがこの作品の一つの魅力だと思う。
広がる世界観
様々な怪奇現象や怪物がシリーズを通して登場するが、これらは全て繋がっている。一つの物語だ。過去に登場した人物が別の物語で違う役割を担ったり、前作での謎が後の作品で明かされたり、世界観がどんどん広がっていく。
そしてその広がり方がこちらの予想をはるかに超えていく。え、そんな話なの?って勢いで、単なる街角の都市伝説が世界の存亡をかけた戦いになっていく。
名称なんかも日本神話やら何やらから引用しているので、妙に説得力があるというか、現実との距離感がちょうどいいというか。
あまりに荒唐無稽な話なのだが、順番に見ていくと実に上手く伏線や設定が貼られており、終盤の怒涛の展開まで一気に乗っていける。パズルのピースが揃う気持ち良さがある。
日本版クトゥルー神話だ!なんて評価もあるが、あながち間違いじゃない。
ちゃんとホラーとして怖いとこは怖い
工藤のキャラクターとか壮大な世界観に目がいくが、実際ホラーの部分はしっかりホラーしている。
一作目の口裂け女のラストなんかはとても怖かった。ホラーから逸脱していきつつも、軸足はしっかりホラーに残してある。正直、荒唐無稽っぷりやエキセントリックなセリフに笑ってしまうところもあるのだが、見終わった後にはしっかりホラーの不気味さなどが残る。
夜道であの口裂け女が疾走してきたらどうしよう、とかトイレが時空の亀裂だったらどうしようとか考えてしまう。
セリフ回し
フェイクドキュメンタリーなので、基本的に登場人物はセリフというより生っぽい、自然な喋りをしている。だから逆に、事態が大きくなってきてから現れる力強い「セリフ」が生きる。その集大成が、劇場版における
「俺の頭の中でいつも声がするんだ。運命に逆らえってな!」
だろう。劇場版の予告でも流れる印象的なセリフだ。
いきなりこれを言われても、ちょっと漫画っぽいなーと思ってしまっていたかもしれないが、これがフェイクドキュメンタリーの、それも終盤の大事な局面で発せられるからズシンと響く。このバランス感覚がやっぱりすごいと思う。
全編このセリフみたいなノリなのはエグザイルが出演してるHIGH & LOWとかだろうか。あれはあれですごいんだけれど。
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ホラーコーナーにはなかなか行かないという人にも是非見てもらいたい作品です。