東京に住んでもう一年。
だいぶ慣れてきて、路線やら街の様子やらも分かるようになってきた。
東京は街の特色というのがハッキリ分かれている。少なくとも田舎者の俺の感覚では。例えば秋葉原はオタク文化と電気の街。渋谷は若者中心のファッションの街。五反田はホテル街。日暮里は…まあそういう街。
色々と分かれて、それぞれの文化や歴史がある。
こないだ暇な時に、ネットで自分が住んでいた(正確には通っていた)街について調べてみた。すると、そこには意外な光景があった。
別の地方から来た人にとって俺の地元は、格好の被写体らしい。山に囲まれてるというのはもちろんだが、それ以上にその街の姿。
そこに切り取られていたのは、
昭和のころから変わらない看板を出し続ける洋服屋
寂れ切った置屋らしき店
100メートル間に数十件スナックが立ち並ぶ裏道
どう考えてもカルトだろうってな宗教をガンガンアピールする家
著作権なんかかんけーねえ!ってな飲み屋の看板
そうやって切り取られると確かに異常だ。
高校の頃には気づかなかった。むしろ「何もねー街だな。」ぐらいに思って、都会に憧れていた。
そうなんだよな。この街は基本的に夜の街なのだ。
この歳になってやっとわかった。だってさ、人口10万もいないのにキャバクラは3件もあるし、スナックは何十件あるんだって話だし、国道沿いに思いっきり風俗店があるし。
そんな街なんだよな。
東京みたいに駅ごとでカッチリ色分けされているわけではなく、あくまでグラデーションなんだと思うけれど、この街は夜の要素が濃い。
ダム建設や道路建設で需要が高まった結果らしいけれど、それも昔の話。
そんな街で、過疎化が進んで若者が減っているといいつつ新しい居酒屋は帰省する度に増えるし、ガラの悪い兄ちゃんはキャバクラに入り浸っている。
地方創生だーとかいうんだけどさ、こういう街はどうなるのか、ふと思った。
健全で明るい、「田舎」になるのか。
だとしたら、毎晩飲み歩いてるオッサンら、スナックのママ、風俗の姉ちゃんはどこに行くのか。
明らかに「影」の方が濃いんだよなこの街。
まあどう付き合うかは俺ら次第だとは思うけれど、「影」が無くなったら寂しいとか以前に魅力ゼロになりそうな気もしている。
かといってなんかずっとグレーなまま行ける時代でもないと思うし。
今度帰省した時にはもうちょっとよく見てみよう。