メタルが好き、というのは何度も話しているのだが、今その中でも特に「ポストブラック」と呼ばれるジャンルにハマっている。
名前からも分かる通り、「ブラックメタル」の「ポスト」なジャンル。
ブラックメタルの音楽性を持ちつつ、新しい形で発展させたバンド群を差す。ただ、これはかなり大雑把な分け方だ。
その内部にはなんやかんや細かいジャンルがあり(メタルはジャンル分けが好きだな)、そのルーツはどこで…とか追っかけだすとキリが無い。
まとめて言えるのは、ブラックメタルの暴虐性みたいなものを別の形に昇華した音楽、ということだ。
ブラックメタルがどんなもんか、というのを語りだすとそれはそれでクソ長くなるので割愛。実際に聞いたやつをいくつかご紹介。
Deafheaven
恐らくこの手のジャンルでは一番の有望株とされているバンド。2010年にアメリカで結成された若いバンドだが、デビュー直後からピッチフォークをはじめとした各音楽メディアで絶賛を受けまくっている。
元メガデスのマーティーもお気に入りだとか。
音楽性的にはブラックメタルとシューゲイザーの影響がみられる。まとめて「ブラックゲイズ」と呼ばれることもあるが、恐らくそういったカテゴライズにハマるタイプのバンドでもないだろう。
Alcest
2000年に結成されたフランスのバンド。バンドというかプロジェクトに近い。こちらも、ブラックメタルの激しさと様々な音楽性が融合した、独自のサウンドで人気を博している。
日本にも結構来てたり、アートワークなどもブラックメタル然としない優しいタッチのものが多かったりと、割ととっつきやすいバンドだと思う。
An autumn for Crippled Children
オランダのポストブラック/アトモスフェリックブラックメタルバンド。
正直この手のサウンドの中では相当好きな部類に入る。シューゲはもちろんだが、アンビエントだったり、空間音楽的な美しさとブラックの暴虐性を合わせた切なさはやはり気持ちがいい。
このような、ゆったりとしたリズムにストリングスなどを加えたスタイルを「アトモスフェリックブラックメタル」と呼んだりするらしい。
正直似たようなサウンドが続きがちなジャンルだけど、このバンドはアルバムごとに新しいアプローチをしてるのもいいなあと。
VMO(Viloent Magic Orchestra)
こちらは日本のポストブラックバンド。
Vampilliaというバンドのメンバーが結成した別プロジェクト。
名前の通り、エレクトロ系統からのアプローチが中心。「踊れるブラックメタル」を標榜しているが、まさにその通り。
エレクトロの快感点とブラックの気持ちよさが一曲に同居している。
正直聞いてて疲れると言えば疲れるんだけど、飲み込まれる感じが癖になるというか。
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個人的に好きなポストブラックをいくつか紹介した。
正直ここに上げたのは一部も一部。ニューロシスみたいな先駆者とか、アゼルバイジャンのViolet coldとか、縦幅も横幅も紹介しきってない。
このポストブラックというジャンルは、メタルの派生としてカテゴライズされることが多いけれど、実際はその枠にとどまらない。
というか、そういった「メタル的カテゴライズ」を嫌う人がインタビューを見ていても多い。好きなもの、好きなことを突き詰めていった結果こういった形になっただけで、別にメタルのためとかメタル魂がとかそういうのはどうでもいいって感じ。
メタルの体育会系気質なとこは、愛らしくもあるが同時に嫌らしさも産む。
まあ俺がベビメタ苦手だったのもそういうのに恐らく根差していたし。
ともかく、そういった「カテゴライズ」から解き放たれつつあるジャンル(なんか矛盾した表現だけれど)、としてポストブラックがあるんじゃなかろうかと思ったり。