吐き捨て系日記

とある20代男が考えを整理するためにブツクサ綴る、ほんとにただの日記です。

映画感想『アウトレイジ最終章』 /『ドリーム』

最近見た二本の映画の感想。ネタバレありなので注意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アウトレイジ 最終章』(2017)

outrage-movie.jp

北野武監督のバイオレンスヤクザ映画シリーズ三作目

ヤクザの抗争と、権力争いの中で繰り広げられる凄惨な暴力と裏切りと、飛び交う「バカヤロー!」

やはり人間ってのはどこか残酷なもんで、見る前に心のどこかで期待していたのは「今度はどんな暴力が見れるかな」ってこと。

1のカッター指詰め、中華料理屋、歯医者、首ちょんぱ。
2の指噛みきり、ドリル、野球。
強烈なインパクトのある暴力シーンを今作にも求めていた。

もちろん、大杉連のキャンプとか火薬田ドン(笑)とかはあったんだけれど、それらが直接行われたところは映さなくなっていた。

アウトレイジは結局、「ケジメを誰がつけるのか」という物語。
誰かがあいつらに殺られた。だからあいつらを殺る。これの繰り返し。
そうなってくると、誰もが薄々感づいてくるのは主人公である大友のケジメ。組関係なくあちこちの子分から幹部を殺りまくった大友。

それはもちろん誰かの尻ぬぐいだったり、誰かの復讐のためだったりするのだけれど、だから認められるってことでもない。
張会長は最後の最後まで「余計な事すんなよ」と言いつつ黙認していたものの、部下の李(白竜)は最終的に大友に銃を突きつけ「これ以上迷惑かけないでくださいよ」と告げる。
元を言えば、別に張会長は花菱にやり返せと指示は出していない。大友は「ケジメをつける」という大友の流儀で最後まで動いていた。

それが巡り巡って、いよいよ大友の番が回ってきた。
自身の行動によって張会長に迷惑が掛かり、誰かがそのケジメを付けなければならない。
その時大友は自分で自分にケジメをつける。常に「やられたらやり返す。キッチリケジメをつける」という行動原理で動いてきた大友にとっては至極当然の行動だった。


その後、花菱会は会長と幹部を失って弱体化しただろうし、山王会も五味と白山の決別でより弱体化するだろう。ただ、花菱の会長に就任した西野も、山王会を乗っ取った五味も、1やビヨンドの頃から何も変わっていない。
大友が消えたことで一旦この連鎖は止まったけれども、また些細な事で同じような抗争は起こるんだろう。

そういう虚しさみたいなものをエンディングの、大友の死体から感じた。

暴力を求めるやつに突き付ける、ある意味「こんなものにマジになってどうすんの」感。

「物足りない」って意見もわかるけれど、だからこそ意味のある映画なのかなと思ったり。

予告編では睨みをきかせてめっちゃ怖そうだったピエール瀧が、最初から最後までひたすら情けない役を好演していた。
中田の襲撃や大友の復讐にビビりまくってる姿が最高。

あと張会長のホンモノ感は前作に続いて凄かった。「おいコラァ!」って凄んだシーンは他の大物役者以上の怖さを感じた。

『ドリーム(Hidden figures)』(2016)

www.foxmovies-jp.com

アメリカ初の有人宇宙飛行「マーキュリー計画」の裏側で活躍したNASAの黒人女性職員たちの物語。

何故か最初の邦題に「私たちのアポロ計画」というのがついてて問題になったり。

今でも問題になる人種や性別に対する差別。それが今以上に激しかったころの話。
すごいなと思ったのはその差別意識の描き方。
分かりやすく「黒人は出てけ!」とかそういうこと言うやつはほとんどいない。
誰も悪いと思っていないし、当たり前だと思っている空気感で黒人を、女性を差別している姿が描かれている。
劇中のセリフでこんなのがあった。うろ覚えだけど

白人の上司「ドロシー。私は偏見は持っていないわ」

ドロシー「わかっています。そう思い込んでいることを」

 誰もが、「自分は差別などしていない」と思い込んでいる。
だからこそ、徹底的に冷たくなる。
白人の上司とか、データを隠す同僚とか、やって当たり前だと思っている。嫌な奴に見えるんだけれど、じゃあ俺は彼らを糾弾出来るだろうか。
ぱっと思いつくことが無いということは、俺も無意識にやってるんじゃないかとか思わされたり。
それに対して、差別と闘い夢に向かう主人公達。
決して「やり返す」ってことをしなかった。嫌味な上司に「ざまあww」って恥をかかせるようなことも無く、人前で吊るしあげたりすることもなく、ひたすら実力で夢を勝ち取ることだけを見続けている。
夫や恋人たちの方が逆に「黒人には無理だよ」「女性なのにすげえな」とどこか諦めたような姿を見せる。そんな彼らにも怒りをぶつけたりはしない。常に前を見続けている。

強い。ひたすら強い姿を見せられた。

 

マーキュリー計画が成功した後、オフィスのシーンが素敵だった。
データを意図的に隠したり、女性が会議に参加することを拒んでいた白人の同僚。
報告書を製作する主人公。製作者の欄に自分の名前を併記する。

今までならば「計算係の名前はいらない」と突っぱねていたが、ラストでは主人公の名前が併記されていても何も言わず受け取る。
コーヒーメーカーも白人と黒人で分けられていたが、ラスト付近では白人の同僚からコーヒーが手渡される。

特に同僚から謝罪のシーンがあったりするわけではない。ただ行動の描写だけで全てを伝えるのが素晴らしい。

 

各シーンのテンポも良く、ファレルウィリアムスの音楽も相まって最後までスムーズに見れた。
大ヒットして、賞を総ナメしているのも納得。

掛け値なしの「良い映画」って感じだった。


グレン・パウエル演じた宇宙飛行士グレンも良かったなあ。
常にニコニコして、それでいてピンチの時にもうろたえない。

あとメアリーを演じていたジャネール・モネイさんって歌手なんすね。
後ほど歌も聞いてみます。

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『ドリーム』はいつも見ているところとは違う映画館で見たのだが、客層が違うせいかジョークシーンで笑いが起こったり、分かりやすく泣いている観客もいた。
いつもの映画館ではなかなかそういう体験はしたことがない。

見る環境を変えると、映画自体も違って見えてくるんだな。