吐き捨て系日記

もう30になっちゃう男が考えを整理するためにブツクサ綴る、ほんとにただの日記です。

ローガンラッキーと、白人と田舎と

見たものは見たうちに感想を書いておく。

www.logan-lucky.jp

ローガンラッキーを見てきた。

監督はオーシャンズ11などで知られるスティーヴン・ソダーバーグ
主演はチャニング・テイタムに加え、スターウォーズの出演でも知られるアダム・ドライヴァー。そして、007のボンド役もすっかり定着したダニエル・クレイグ

あらすじ

将来有望なアメフト選手だったジミーは、足のケガで選手生命を絶たれた。
今では工事現場で働きながら、離婚した妻が親権を持つ一人娘に会うのが楽しみ。

弟のクライドはイラク戦争に従軍していたが、帰国直前に地雷で左前腕を失った。今は義手を付け、バーテンダーとして働いている。
ジミーは足のケガが原因で仕事を首になり、クライドはその義手を酔っぱらいにからかわれる。
酔っ払いとの喧嘩の後、兄弟はジミーが工事を行っていた巨大レース場の金庫を破る計画を立てる。
メンバーとして、爆弾のプロフェッショナルで現在は服役中のジョーとその兄弟を仲間に加える。

計画は少しづつ進行していくが、決行の日程に狂いが生じてしまう。
その結果、彼らは全米最大級のレース中に現金強奪を行うことに…

感想(ネタバレあり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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オーシャンズ11の監督ということもあり、見る前はデコボコチームのドタバタクライムムービーなのかな、なんて思ってた。

しかし、この映画の本質は恐らくそこではない。

冒頭、主人公ジミーと娘のサディが車を修理しながら会話をしている。話題はジョン・デンバーについて。
ジョン・デンバーといえば「カントリーロード」や「太陽に背を向けて」で知られるカントリーの伝説的歌手。

そして物語の舞台はウェストバージニア州

カントリーロードは日本でも知られる歌だが、原曲の歌詞はウェストバージニアの山々の美しさと、そこへ帰りたい思いを謳ったものだ。

ウェストバージニアは白人が多い地域と聞く。そして同時に、貧しい州であるということもよく言われる。
隣のバージニア州では白人至上主義団体と、それに対するカウンター団体の衝突がニュースにもなった。

miyearnzzlabo.com

キャストを改めて見直してみても分かる通り、有色人種は皆無だ。黒人も刑務所のシーンで出てくるぐらいで、アジア人もヒスパニックもいない。

そう、この物語は「貧しい白人(ホワイトトラッシュ」そのものの物語なんだろう。

働いても全く裕福になれない、いわゆるワーキングプアなローガン兄弟。
アメフトのスター選手、アメリカ帰還兵という「英雄」になり損ねた二人。
そんな彼らの苦しみ、あがく姿こそがこの映画の主題のように思えた。


車のチョイスを見てもそれは分かる。ジミーは終始おんぼろなピックアップトラックに乗り、ジミーの元嫁も古臭いシボレーノヴァに乗り続ける。
新しい旦那がシボレーコルベットをわざわざ用意したのに。

 

BGMも特徴的だ。
まんまと大金を盗むローガン一味。その時、BGMでかかっていたのはCCRの「Fortunate Son」

「それは俺ではない。俺は祝福された子ではない」
貧富の差によって戦争に送るものと送られるものが生まれる不公平さを歌ったロックナンバーだ。
これ以外にも、BGMのほとんどがカントリーやサウスロックで占められている。

そして何より象徴的なシーンがある。

ジミーの娘は学校の発表会で歌を歌うことに。
そこで当初予定していたのはリアーナの「アンブレラ」。言わずと知れた大ヒット曲だ。
そしてラスト。仕事を終え発表会に駆け付けたジミー。その姿を見た娘はステージ上でこう言う「パパの好きな歌を歌うことにします」
そして彼女が歌ったのは「カントリーロード(故郷に帰りたい)」
アカペラで歌っているうちに、観客たちも呼応し、大合唱になる。

リアーナではなくジョン・デンバーを選んだ。


ジミーは盗んだ金をこっそり返し(もちろん取り分は別に隠してあったが)、「田舎の泥棒」とメディアで呼ばれる。

クライドが終始語っていた「ローガン家の呪い」、成功を目の前にすると何かが立ちふさがる。ジミーが、クライドが、そして親戚がそうだったように。

呪いとはなんだったのか。

典型的なホワイトトラッシュである彼らがかかっていた「呪い」、それは一体。

 

 

…と、ここまで書いて後は思いつかなかった。
俺の知識ではここが限界。
なんとなーく、こういうことなんだろうなーという程度。

盗むシーンに爽快感を求めたり、悪い奴が痛い目を見てざまあみろってなタイプの映画ではないとは思う。

なんのかんの言っても俺はアメリカ文化の表層しか恐らく分かってない。
この映画全体に漂う、うっすらとした閉塞感や薄暗さみたいなものが、アメリカ社会の中にも存在しているものなんだろうな、ってぐらいしか感じ取れない。

というわけで、誰か詳しい人解説してくれー。