吐き捨て系日記

もう30になっちゃう男が考えを整理するためにブツクサ綴る、ほんとにただの日記です。

EVO 2018に見たeスポーツの未来

エラそうなタイトル付けちゃったけど、EVO 2018を見て格ゲーファンが感じたことをつらつらと書き残しておきます。
eスポーツっていうか格ゲーの話がほとんどですが。


EVO 2018公式ページ


まず『EVO』とは何か。ニコニコ大百科の解説が詳しいので以下に貼っておく。

 

dic.nicovideo.jp


簡単に言うと、年に一回ラスベガスで行われる格ゲーの世界大会。
プロはもちろん、エントリーさえすれば誰でも出られるお祭り感の強いイベント。
95年からスタートし、20年を超える歴史がある。

Twitchをはじめ様々な媒体でネット配信されているので、視聴が容易になったのが嬉しい。

で、俺も長いこと見てたわけですが、そんな中今年気になったポイントを以下に紹介。

レジェンドの健在っぷり

以下のクリップを見ていただきたい。

clips.twitch.tv


奥に座っている白髪交じりのおじさん。
実はこの人、アメリカの格ゲー界ではかなり名の知れたレジェンドであるアレックス・ヴァイエ(Alex Valle)さん。

経歴は以下

Alex Valle | 格ゲープレイヤーWiki


日本でもその存在が知られるようになったのは、ご存知日本を代表する格ゲープロ「ウメハラ」との対決から。

98年の『ストリートファイターZERO3 世界一決定戦』において、米国代表としてウメハラの前に立ちはだかったのがアレックスだった。

当時はタンクトップのいかつい兄ちゃんだったアレックス、その後は格ゲーイベントの主催などプレイヤー以外でも積極的に活動し、格ゲーの普及に努めていた。
2014年に一度引退宣言をしたらしいが、今でもエンジョイ勢として活動しているとか。

そんなアレックスの姿を久々に見たわけだが、上の動画で戦っている相手は2016年のカプコンカップ優勝者ナックルドゥ(NuckleDu)。22歳新進気鋭の強豪プレイヤーだ。

大方の予想ではナックル優勢だったが、なんとアレックスが勝利。
レジェンドここにあり、と言ったところだろうか。


格ゲーに限らず、eスポーツ選手としてのピークは20代までと言われている。
実際、格ゲーでもトップ層の入れ替わりは大分激しくなってきた。
そんな中、20年を超えるキャリアを持つ選手がこうやって活躍する姿は多くの人に勇気と希望を与えてくれる。

スポーツ始めるのに年齢や性別は関係ない。
大仰な言い方かもしれないが、そんな風に思わせてくれる光景だった。

日本芸能界からの刺客

日本のテレビでもeスポーツを取りあげる番組が増えてきた。
この間はフジテレビのスポーツバラエティ『ジャンクSPORTS』にプロゲーマー夫妻ももち&チョコブランカが出演していた。

realsound.jp


まだ物珍しさで紹介されているところもあるし、格ゲーとそれ以外のゲームがごっちゃになっているような気もするが、以前よりははるかに扱いがよくなった。
AbemaTVには専門チャンネルがあったりするし、芸能人がゲーム大会する企画もよく見る。


そんな中、今回のEVO 2018には何人かの芸能人が参戦していた。
まずゲーム好きグラドルとして知られる倉持由香吉田早希

そして、関西のゲーム番組『YUBIWAZA』のMCであるロンドンブーツ1号2号の田村淳、そしてテレ東のゲームバラエティ『勇者ああああ』のMCであるアルコ&ピースの二人。

ゲストとかではなく一般参加として、予選プールに入って試合を行っていた。
中でも田村淳はなんと配信台(予選の試合の中にはネット配信用の台で行われるものがある)で試合が全世界に放映された。

clips.twitch.tv

結果はほぼ全員が初戦、ルーザーズ共に敗退となった。
上にも書いたが、別にプロや強豪しか参加しちゃいけない大会でもないのでこれ自体は全然ありだと思う。


終わったなー、なんて思ってたらウメハラの配信チャンネルでなんと「アルコ&ピースvs田村淳」が行われるという情報が!

www.twitch.tv(上動画の40分辺りから)

放送局の垣根を越えた、東西eスポーツ番組対決が実現してしまった。


で、俺も配信見てたわけですが、試合前にはコメント欄で

「素人の対戦なんか見たくない」
「番組の企画に乗っかってやる理由ないだろ」
「どうせ冷やかしだろ」

みたいな懐疑的なコメントも目立っていた。

そんな中対決がスタート。
アルピー酒井がまず田村淳と戦ったが、経験者である酒井が圧勝。
まあこんなもんだろう、と思ってたが次の平子戦が凄かった。


正直両者とも決して上手くはない。敦は二日前に始めたばかりらしいし。
だがそれが良かった。
敦と平子が「同じレベル」だったのだ。

技はなんとなく出せるけどコンボや起き攻めなんかはまだ出来ない二人。
拮抗した実力の対戦はやっぱり競り合いになる。


しかし、徐々に敦が平子を圧倒しだす。
最初は何も出来なかった敦が、徐々に技を安定して出せるようになった結果、ガイルというキャラの特性を活かした「飛ばせて落とす」、つまり待ちガイルにたどり着いたのだ。

ガチャプレイで対抗する平子だが、最後は敦のサマーソルトで決着。

clips.twitch.tv


コメントを見ればわかるが懐疑的なやつはすっかりいなくなり、最後は大盛り上がり。


そして敦が一言「面白いじゃん!eスポーツ!」
平子も「敦さんとゲームやるのおもしれえ」


見ていたほぼ全員が思った。
これだよな。これが格ゲーだよな。


年がら年中プロや上級者の戦いを見ていてすっかり忘れていたが、格ゲーの楽しさってこれだったよなと。
思えば、俺もやり始めたころは下手くそなりに一戦一戦悔しがって、友達と競い合ってたなって。

なんかそういう、ゲームを楽しむことの原点を見させられたような、そんな『ベガスの凡戦』だった。


今回は番組の企画で参戦したわけで、彼らが今後もゲームやってくれるかは分からんし、ゲーム番組がこれからも続くかも分からない。
多くは深夜かローカル局だし。

でも、こういう光景が少しでも世間に届けば、格ゲー並びにeスポーツってのももうちょっと普及していくんじゃないだろうか。


もちろん法整備の問題や、ルールや団体の問題などもあるわけだけれど、eスポーツで大切なのはファン=プレイヤーになり得る敷居の低さであるべきだと思う。
そういった意味で、理想的な光景がこの対決だったんじゃないかな。
誰でも参加し、プレイし、喜び悔しがる。
それでいいと思うんだよなあ。

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上に挙げてきた2点、レジェンドの姿と初心者の参加。
両極端な二つの光景が同時に存在しているこの状況こそがeスポーツ、格ゲーにとってまさに目指すべき姿だと思う。

エラそうに語ってきたが、そりゃ俺も格ゲー界が盛り上がれば嬉しいし、やりがいがある。

まだ世間やネットでは「たかがゲームがスポーツを名乗るな」みたいなのも根強いけれど、徐々に変わってけばいいよな。
「世界で流行ってるからー!」とか「賞金がー!」ってゴリ押しするより、色々な人が楽しんでる姿をまず見せる。
これが大事なんだろう。