ロストジャッジメント、クリアしました。
本編及びユースドラマも最後まで完走。
というわけで感想など。
リリースから数か月経ったので人名等もハッキリ書き直したネタバレ全開バージョンです。
ストーリー
本編
本作はジャッジアイズの続編。
そこがまずポイント。
前作ジャッジアイズは神室町で起きた事件を通して、主人公八神及びその周辺の人々の「過去」を清算していく物語だった。
八神がなぜ探偵になったのか、海藤がなぜヤクザを辞めたのか、杉浦の正体、東が隠している事実。
一つの事件に複雑に絡み合ったそれぞれの因縁、後悔を一つずつ解きほぐし、彼らが八神の仲間として立ち上がるという構成になっていた。
そして八神自身も、弁護士として、そして探偵として、自身の過去に決着をつけつつ真実に向き合う。
このストーリー構成は見事だったと思う。
そして本作、八神及び周辺の人々は既にその過去から解き放たれている。
そんな彼らが再び集結し、事件に挑んでいく。
そこでどのような舞台を用意するのかというのがロストジャッジメントに問われていたポイントだ。
そこで据えられたのが「いじめ」というテーマ。
いじめ調査に駆り出された八神達は、そこで様々ないじめの現場、被害に出くわす。
そしてそれらの裏側に巨大な陰謀が渦巻いていることに気付く、というのが主な流れ。
ぶっちゃけ、政治家の名前が出てきた時点で陰謀の存在には気付いてしまった。
こいつが陰謀の核なんだろうな、という。
問題は、その陰謀といじめを繋ぐ存在にして物語の全ての元凶とも言える人物。
桑名仁の行動原理にある。
動機自体は理解が出来るものの、その行動はあまりに狂気的だし、情状酌量の余地があるとは思えなかった。
「法で裁けない人間を裁く」という原理をもって、八神達に対する「もう一つの正義」として立ちはだかるわけだが、それにしては個人の能力や影響力が余りに大きすぎる。
その過去や年齢設定から考えると超人的すぎる設定じゃなかろうか。
30まで普通の教師で、そっから裏社会で便利屋として頭角を現すってちょっとなあ。
そしてそこに立ち向かう八神達だが、中盤で起こった澤先生殺人事件を事件究明の動機の中心として主体的に動くようになっていく。
裏を返せば、その事件が無かったら八神達はここまで深く事件に首を突っ込むことも無かったかもしれない。
言い換えれば、八神達を動かすために起こった事件、犠牲であったとも言える。
前述したように、八神達はそもそもこの事件に関して縁もゆかりも無い。
前作のように前向きに取り組んでいくには動機が無さすぎる。
龍が如くであれば、「東城会が大変で…」「遥が大変で…」ということにすれば、桐生を動かす理由作りはある意味簡単だった。
それに対しジャッジシリーズの八神達は1作目で因縁を全て消化してしまっている。
加えて、組織のしがらみ等には全くかかわりの無い気ままな探偵業。
それ故、単なる依頼というだけで彼らが命を懸けてまで動く理由を生み出すのは中々難しい。
桑名の余りに狂気的な行動、そこに向き合わされるために生み出された犠牲。
この構成は正直腹落ちがしないというか、物語の都合で作り出された悲しい状況のように思えて少し残念だった。
前作における八神のトラウマの一つ、その再現をまた見せられているような。
だからこそ八神は見過ごせなかったし、最後までこだわったとも言えるのだが、桑名に「くどい」と言われるぐらい澤先生連呼するのはちょっとやりすぎなような。
そしてもう一つの巨悪、公安についても。
陰謀自体の存在が明かされるのが唐突というか。
例えば前作であれば老人殺害事件がそのまま認知症治療薬とそこに渦巻く陰謀に繋がっていくという流れなので、繋がりが自然だった。
今作では楠本自身がいじめ事件の被害者の一人ということだが、その楠本の大臣としての都合と、いじめ事件自体がが直接繋がっていない。
実は楠本には税金絡みで云々という説明が行われるが、その話も非常に唐突で「いじめは…?」という印象を受けた。
光石研演じる江原の「警察官である」というバックボーンも特にいじめには関係無かった。
つまり、いじめにまつわる事件と政治にまつわる陰謀、これらが繋がったのがホントに偶然でしかない。
たまたまいじめ被害にあった少年の親が大物政治家だった、故に政治的陰謀に巻き込まれた、という構図。
終盤で「悪い偶然が重なりすぎた」といった独白を桑名が行うが、ホントにその通り。
で、その繋がりを作ってしまった桑名が「もう一つの正義」を名乗ってるもんだから、個人的に共感や理解は難しくなってしまった。
狂気に基づいた独善的な行動を繰り返し、結果状況がひたすら悪化していく中で「俺は正義だ」と言われてもなあという。
八神に「こいつは自分のケツを拭く気が無い」と看破されていたが、それもホントそう。
自暴自棄になって大暴れしてるだけじゃねえかと。
ただ、物語当初から言われていた「いじめとは群れの裏切り者を排除する行為である」という構造に沿えば、公安の行為自体が「いじめ」であるという見方も出来る。
公安の連中は終始「秩序を保つ」ということを行動原理として語っていた。
そこからはみ出ようとする人間=楠本大臣に対する粛清、つまりいじめ。
そこに声を上げるファーストペンギンが八神であり、仲間たちであったと。
ただそうなった場合でも、二つの事件を結び付けてしまった桑名の行為はやはり納得はしにくい。
その行為を「ファーストペンギンである」とは評価出来ないなあ。
結果として巨悪は裁かれることになり、いじめを行っていた高校生たちはいじめを見過ごさず声をあげるようになった、という結末にはなっているわけだけれど。
インタビューの中でラストの扱いはスタッフ間でも揉めた、というのを見た。
確かにそうだろうな、という。
前作は全てを解決一件落着した後、日常の探偵に戻ってスッキリとしたエンディングを迎えた。
今作はそのラストの扱いもあり、スッキリとしたエンディングには至っていない。そこが正直大分気になった。
前作以上に「物語の都合」で起こる事態が多かったように感じた。
あと、前作の綾部と今作の江原。
被疑者として法廷に立ち八神の弁護を受ける二人だが、なぜか共通してその後の顛末というかフォローが一切ない。
彼らの裁判を通して裏の真実を暴きラスボスに相対するというのが共通する流れなのだが、当の本人らがその後どうなったのか。
せめて八神と事後の挨拶やなんかあっても良かったんじゃないのか。
せっかく有名俳優使ってるんだし。
ユースドラマ
今作の目玉の一つ。
ボリュームはかなり多く、ミニゲームクリアを主体とした構成なので時間も結構かかる。
高校生の非行の裏で暗躍する存在を暴く、というのがメインの構成であり、その過程で彼らの悩みに八神が向き合い、解決していく。
それぞれのストーリーはそこまで深刻でも無く、本編がかなり陰鬱とした展開なので非常にカラっと爽やかな印象を受ける。
ただ、ボリュームにかなり差がある。
序盤から関わるダンス部は練習→大会の過程で何度もダンスゲームを行い、衣装やダンス教本を集める必要があるし、異人町のあちこちに出かけてイベントをこなす必要がある。
難易度自体は高くない。
ロボット部も練習試合→大会と流れは同じだが、ロボット用のパーツを作るには大量の素材が必要になってくるため、勝利報酬のためにトレーニング戦を何度も行ったり街を歩き回って素材を集める作業が不可欠。
必要となる素材に偏りがあるので、延々同じ相手をボコる感じになってたのは少し残念。
後半になると結構強い敵もいるので、改造無しでクリアするのはほぼ不可能だろう。
暴走族も雑魚戦→ボス戦でひたすら同じ戦いを繰り返す。
難易度は高くないものの、バイクの改造は各部位に一段階のみなので、ロボット部と比べてこちらが出来ることが少ない。
敵の攻撃や攻略法も最初っから最後まで基本的に同じで、ただ後半になればなるほど時間がかかるという感じ。
ボクシングはスパーリング→決戦を繰り返していく。
スキル購入やパラメータ育成があるものの、敵のガードが後半に行けば行くほど固くなり、カウンターを狙うかバーストゴリ押しで殴りまくるかの二択になってくる。
上下の打ち分け等面白いシステムなのだが、それをフルに活かす機会はあまりないように思えた。
それ以外の部活に関しては難易度の低いミニゲームを数回こなすだけでクリアになってしまう。
eスポーツ部ではバーチャ5をやらされるが、どのキャラでもP連打してれば勝てるぐらいの難易度。
スケボーもトリックは自分でどうこう出来ないので、ジャンプ台とレールに向かって滑るだけでクリアできる。
カジノに至っては負け確イベント見たら後は一回勝つだけで終わり。
彼女作りとも連携しているガールズバーもひたすら通うぐらい。
最終的な顛末は、正直これ前作でも見たよな?って展開だった。
扱いとしてはサブクエスト集なので、本編と一瞬しか関わらないのも少し残念。
彼らはずっと部室なりに籠りっぱなしなので、街中で出会ったりクリアによって校内の様子が変わっていくなどの変化も無い。
もうちょい、「やりきったなあ」というのが見た目に現れてくれたら嬉しかった。
サブクエスト
前述したように、その大半がユースドラマに含まれたため街中で遭遇するサブクエストや探偵への依頼自体は少なくなった。
その多くもチュートリアル的なもの。取りあえずミニゲーム一回遊んでもらうとかそういうのがほとんど。
彼女クエストは好感度アップ→クエストを何回かこなすと彼女になる、という流れ。
この好感度上げが中々めんどくさい。
雑談が一番楽に上げられるが、雑談用のワードは街中で収集する必要があり、一度使ったらおしまい。
プレゼントは特に好みとかも無いが微々たる上昇率だし、ミニゲームをこなすのが一番大きく上がる。
しかしそれぞれの彼女で行えるミニゲームは2種ずつなので、結局同じのを何度も繰り替えすことになる。
彼女になると、街中でヘルプに入ってくれることがあるが、それ以外の要素が極めて薄い。
一緒にちょっとミニゲームするか、過去の会話を振り返るか。
カラオケなどが無いため、一緒にすることがそのくらいしか無い。
龍が如くのようにちょっとお色気要素入れるわけにもいかないので、そうなっちゃうのかな。
告白シーンはいい感じなんだけど。
ゲームプレイ
バトル
戦闘はかなり改善され、スピーディーかつ爽快感のある操作が行える。
新スタイルの流は雑魚戦でかなり使い勝手がよく、受け流しやサレンダーの活用であっという間に雑魚を制圧出来る。
前作ではひたすら逃げるしかなかった強敵のイモータルアタックも全スタイル共通で返し技が用意されており、アグレッシブに戦っていくことが出来る。
相変わらずスーパーアーマーで突っ込んで来たり、技後の残心を狙ってくるのはストレスではあるが、装備の存在などトータル差し引きでバトル自体は楽しくなったと思う。
探偵
スティールやクライミングが追加されたが、どちらもほぼ一本道。
コイン投げや絞め落としなども決まったポイントで決まったようにしか行えない。
登る場所も正解ルートが一つだけ。
チェイスなども合わせると前作以上にローラーコースター型というか、決まったところで決まったことをしている、という感覚に陥りやすい。
潜入場所が選べるとか、クライミングか開錠か選べるとか。もうちょっと自由度があったらよかったなあと。
集音機、電波探知機、探偵犬も使う場所が限定的で、街中のアイテム集め以外だとほとんど出番が無い。
ドローンに関してはほぼ九十九しか操作してないし。
尾行などの回数も減っており、要素自体は増えたがやることは減ったという印象。
街遊び
全体数は増えている。
前作の飲食店は最初に多少ポイントが貰えるだけで有用性が低かったが、今作ではドロップアイテムや拾える素材の質が向上するなどの効果を得ることが出来る。
ネコミュニケーションはエサを二回与えるだけで一匹の好感度はマックスになる。
しかし、どのネコと交流できるかはランダムなようで、結果として何度もネコの溜まり場に訪れて、既に好感度マックスになったネコを撫でる作業を繰り返すことになる。
街中でのスケボーは移動手段以上の意味合いは特にない。
レールを滑っても特にポイントが貰えるわけでも無く、スケボー用コインを拾うぐらい。
ダッシュボタン長押しという性質上、意図せぬところで暴発したりすることも多い。
暴発したからどう、ってわけではないのだが若干ストレスを感じるポイントだった。
ユースドラマが追加された影響か、街中で出会うサブクエストや探偵への依頼は激減している。
リス探しは得られるアイテムに強力な物が多いのでモチベーションは得やすい。
その一方で電波探知機による探査はポイントを見つけるのが難しく、常にビープ音が鳴っているため結構耳障り。
ドローンレースは途中だが、今のところ前作と難易度がそんなに変わってないように感じる。
この感じだとコンプはちょっとキツイなあ。
VRすごろくは競争相手が追加されたことでプレイのテンポが悪くなっている。
VRシューティングは派手な見た目で面白いが、アイテム購入でゴリ押し出来るのがバランスとしてどうか。
総評
前作で物足りないなあと思った部分を改善しつつ新たな要素を多数追加した本作。
龍が如くがコマンドRPG方向へ転換したことを受け、シリーズ作品として如くスタジオのアクションRPG方面をこれから担っていくための一歩目にあたる。
個人的には、相変わらず惜しいというか。
面白い所とゲーム的にタルい所が近くに同居している。
今回はそれに加えてストーリーの部分でも少し不満を感じた。
このシリーズというか、八神隆行というキャラクター自体は好きだし今後どのように広がっていくのかとても楽しみにしている。
今作はその、シリーズを広げていくための第一歩として戦った結果だと思う。
そういう意味で、様々な新要素を追加した意図や意思は存分に感じられたからこそ、期待に対する物足りなさを覚えたのもまた事実。
とはいえ、面白いゲームであることは間違いないので、僕は今後も楽しみにしてるし買ってくと思います。