※注意:最初っから最後までゲームの話です。脚注とかあんまり入れてなかったり。
まずは自分のことから。
2000年代初頭に格闘ゲームに興味を持ち、ストⅣのリリースでどっぷりとハマった世代。
ゲーセンに行ったり、海外大会も見る感じの格ゲー中心e-スポーツファン。
さて、ときどが悲願のEVO制覇を果たした。おめでとうございます。
それ以外にも、有名プレイヤーから新人プレイヤーまで様々な人たちが結果を出すなど、「格ゲーに日本あり」を示した大会だったと思った。
そして来年には、この世界最大の格ゲーイベントEVOが日本で開催されるわけですが、
これと前後してネット等でこんな意見がよく見受けられる。
「海外では流行ってるのに、e-スポーツが流行らない日本はヤバい!」
「e-スポーツなんか日本で流行るわけねえだろ!」
俺も格ゲーファンの端くれとして、少し寂しい思いもあるわけだが、同時に「海外ガー」でゴリ押しされんのもなんか違うなあと思うところではあり。
そこで、自分なりに色々と調べてまとめてみようと思ったわけです。
1.e-スポーツは海外で流行っているのか?
そもそも前提なんですが、「本当にe-スポーツは海外でも人気があるのか?」ということ。
っていうかe-スポーツって言う括り自体がかなりデカいものなので、そこは注意しなければいけない。
「球技が人気です!」って言われてもピンとこないでしょ。
それはそれとして、流行の判定が難しいがとりあえず視聴者数を基準にしてみよう。
大手ゲーム実況サイトtwitchでの、格ゲー世界一の大会「EVO」の視聴者数の推移を見ると、2015年ぐらいから大体20万人前後になっている。
20万というと一瞬多いように感じるが、世界一の大会で20万はどうだろう…とも感じられる。
ただ、これはあくまでtwitchのみの視聴者数なので実数はもう少し多くはなるだろう。
さらに、アメリカのスポーツチャンネルESPNもEVOの中継を行うようになっている。
www.espn.com
でも結局、「なんだ、大したことねえじゃん」と思うかもしれんが、これはあくまで「格闘ゲーム」に限った話。
格闘ゲームはe-スポーツの中では、決して一番人気の種目ではない。
じゃあ人気種目なら?
人気の高い「League of Legends」というゲームだと、決勝の視聴者が1,400万人、大会の述べ視聴者数が3億3400万人にもなる。
格ゲーとレベルが違いすぎてビビるわけですが、ともあれ「同時に1000万人が見てる」ってのは相当凄いことです。
リオ五輪の開会式の視聴者数が約4500万人だったことを考えると、規模的には手が届きそうな位置にいるともいえるかもしれない。
その他、人気のあるFPSであるCODの大会だと述べ視聴者数が2,000万を超えるそうな。
というわけで、「世界で流行っているか?」ということに関しては「競技によっては滅茶苦茶流行っている」ということですかね。
ここがちょっとややこしい。
だから「e-スポーツが人気!」みたいな報道ってちょっと違和感があったりする。
2.稼げるの?
上の視聴者数の比較でもわかるが、一口にe-スポーツと言っても様々な種類があり、そのうえ人気にかなりのムラがある。
賞金にもそれは現れており、EVOのストリートファイター5部門の優勝賞金は3万6000ドル。約400万円ぐらい。
対してLOLの優勝賞金は2016年の世界大会で約4億円とか。
また、世界大会で2000万人の視聴者を稼ぐDOTA2というゲームでは賞金総額が22億円にも上る。
ただこれはゲームの性質によるところが非常に大きい。
LOLやDOTA2は基本無料のオンライン対戦ゲームであり、ゲーム内課金がある。
そこで、大会に合わせた課金グッズを売り出し、その売り上げがそのまま賞金に上乗せされるという形になっているのだ。
競技人口の多さもこの基本無料+課金というシステムによるところが大きいだろう。
まあそもそも基本賞金が2億近い時点で凄いが…
とはいえ、格ゲーでも一般社会人の年収ぐらいを一大会で稼げるわけだ。
ただ、それだけで食っていけるのは一部のトッププレイヤーのみという厳しい世界ではある。
プロの中にはイベントの主催や講演など、活動の幅を広げる人もいたり。
まあこれはe-スポーツに限った話ではないが。
3.日本ではどうなん?
冒頭にも述べたが、日本は格ゲー部門が非常に強い。
そもそも格ゲーの大半が日本製というのもあり、ゲームセンターを中心に培われた大会ノウハウや対戦研究文化による積み上げが大きく、20年以上トップで勝ち続けるプレイヤーもいるほど。
一方で、LOLをはじめとするPCベースのゲームは普及があまり進んでいない。
ゲーム機文化が非常に強かったこと、スマホゲームの隆盛など理由はたくさんあると思うが。
まああと、「ゲームなんて遊びだろ?」ってのもやっぱり多い。
ただこれは別に日本に限った話では無く、アメリカやらでもよくプロゲーマーが槍玉にあげられるニュースを見かけたりする。
あと、野球を始めとした人気スポーツってテレビ局や新聞社と繋がりが強いので、新規スポーツが放映されたりするのって中々難しいんだろうなってのもある。
とはいえ、世界的に盛り上がりつつあるのも事実。
そして、アジアオリンピック評議会がe-スポーツを競技種目に加えることが決定したらしい。
だからって「ゲームやれよオラ!」みたいにゴリ押ししても受け入れてもらうのは中々難しいだろう。
今や押しも押されぬ人気スポーツであるサッカーだって、プロ化までには長い時間がかかった。
e-スポーツって概念が生まれてからまだ20年も経ってないぐらい。
世界で人気です!って煽っても一朝一夕で普及するもんでもないだろう・
世界の急速なスピードに慌てず、長い目で育てていく目線も必要なのかなあ、と思ったり。
それに、ゲーム協会みたいなのが乱立して混乱したり、マネタイズを急ぎ過ぎて倫理的にマズい行為が行われたり。
スピードだけを最優先にすると多分ろくなことにならねえだろうな、というのが素人から見たe-スポーツ業界です。
協会が多すぎて混乱しているという記事↓
まあ世間がどうあれ、俺自身ゲームは好きだし、プロゲーマーや日本のゲーム会社は応援したい。
EVO2018は見に行こうと思います。
あともう一点ややこしいところ。
日本のテレビやメディアに露出するプロゲーマーって、多くは格ゲープロなんすよね。
で、上にも書いた通り格ゲー自体はe-スポーツの中でもマイナーだし賞金も少ない。
なんなら格ゲーのタイトルによっては中国や韓国の方が遥かに強かったりする。
もちろん、だから凄くないってことでは無いんだけど。
ただ、「競技人口1億人!」「賞金数億円!」っていう煽りで格ゲーマーが出てくんのもちょっと違うんじゃねえかって気はする。